ルドルフ・シュタイナー
ルドルフ シュタイナー 建築
☆ 後編 ☆
【 構成 】
シュタイナー建築
TOP・前編 / 後編
《 2編からなります 》
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
このページは ” 後編 ” です
最初に、TOP・前編からお読み下さい。
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シュタイナー建築 ( TOP・前編 )
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《 TOP・前編 INDEX 》
□ Goetheanum
□ Basel & Dornach、Bern
Photo(街の風景写真)
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■ 特集について
■ 建築特集の趣旨
人間の快楽への欲求
■ Goetheanum の概略説明
■ 建築特集の趣旨
人間の快楽への欲求
■ シュタイナー建築とは!
独創性について
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■ 構想~設計
シュタイナーの造った空間・造形
建築を設計するとは
■ ゲーテアヌムの平面形態
■ Goetheanum の建設
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
★ ” Tea Break ”
□ 筆者の設計作品紹介
” 光そして陰翳礼讃 ”
□ 建築を考える
芸術観
旅の途中(インド)
生活の矛盾
生きるとは
☆ 構造計算書偽造問題
等などを記載しています。
後編 INDEX
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■ 建築というものの考え方
◇ 建築心理入門
小林重順 著:彰国社
色彩造形心理学者
◇ 建築論
フランクロイドライト
■ 近代(現代)建築の流れ
■ 興味深い現象について/棟上げ
■ シュタイナー建築・造形の紹介
□ 1st Goetheanumの建築写真
■ 2nd Goetheanum
□ 建築写真・工事写真
■ Dornachの建物/風景等
建築というものの考え方
■ 建築心理入門/小林重順 氏
■ ライトの建築論
【 建築心理入門 】
小林重順 著
色彩・造形心理学者 – 彰国社刊
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ものが人の心に結びつくには、それが知覚に刺激を与え、からだに興奮をよびおこすかどうかにある。
それも快・不快のもっとも素朴な情緒的反応を、まずもたらす。
建築に限らず人々が造形に出逢うと、情緒的な反応が沸き、やがて五体を貫く緊張感を生む。
よい形態はリピドへと働きかけるためだと思う。
しかし、形態感情は人の成長過程で次第に条件づけられてゆくもので、たんに快楽追求の衝動だとは一口にいいきれない。
幼い頃には、あらゆることがただ好き・嫌い、快・不快で処理されているが、そのうちに複雑なフォルムや色にも情緒的反応が条件づけられ、形態感情も分化されてゆく。 形態感情はよい造形に接するうちに、次第に獲得されるものである。 この情緒的反応は、ふつう四丘下部とか大脳皮質に深い関係を持つものである。
それでは、すぐれた建築に出逢うと、人々はどう受けとるだろうか。
その造形美は快い刺激となって、過去の経験に照応され、いろいろな感情をもたらす。 五体を貫く感動の波に、ひしひしと生命感が迫ってくるにちがいない。
こうした形態感情の昂まりこそ、人と建築の出会いにふさわしい。
・・・ 小林重順
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【 ライトの建築論 】
– THE NATURAL HOUSE –
ORGANIC ARCHITECTURE
フランク・ロイド・ライト
Frank Lloyd Wright / 1867 ~ 1959
旧帝国ホテル設計:アメリカの建築家
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人間においても、建築においても、今日最も必要なものは、”完一性(INTEGRITY)”なのだろう。
その”完一性”とは、人の心の中に残るものの価値なのです。
それは自分以外のいかなる人にも、或いは外的条件の外側からのいかなる圧迫にも変えることのできないもので、自らの努力により、自らの内側からしか変えることが出来ないものです。
なぜならば、それは”あなたというあなた自身”の中にしかないものであり、それによって、あなた自身の人生(あなたが、自分の建物を建築するように!)を、できる限り良いものにしようとするもののことなのです。
又、人間を、或いは建物を内から育むことは、常に困難を伴う。
なぜならば、深いものは常に浅いもののように簡単なものではないからなのです。
もし、あなたが尊んでいる自分自身の内にある深いもの”真実であるその道・そのところ”で、あなたが本当に生きようとするなら、あらゆる意味で”完一”でなくてはならないし、その努力が必要です。
・・・フランク・ロイド・ライト
《 近代(現代)建築の流れ 》
★ シュタイナー建築を見る前に、基礎的な近代(現代)建築の流れを簡単に説明しておきます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
19世紀末、今までの時代の流れを変える装飾芸術運動(アールヌーボー/ユーゲント・シュティール)が起こり、 20世紀に入り1902年~1906年(シュタイナー:1861-2/27—-1925-3/30)、建築家ヴァン・デ・ヴェルデやヴァルター・グロピウスにより設立された「バウハウス」から近代建築の大きな流れが始まります。
「バウハウス」は、最初は、合理主義的(機能主義)なものと、表現主義的(神秘主義・精神主義的、芸術的、手工業的)なものが混合し教育されていたが、 後に 合理・機能主義が、バウハウスの中心的な傾向となり、ミース・ファン・デル・ローエが校長に就任してからはモダニズムへと建築の流れが変わります。
又、モダニズムの巨人/ル・コルビジェの「住宅は住む機械である」という宣言やフランク.ロイド.ライトの「有機的建築」が注目されている。
そのころ、日本の建築界では1920年、堀口捨己、山田守、石本喜久治等を中心に「分離派」が生まれ、 その後ル・コルビジェの流れを汲む前川国男や丹下健三らのモダニズムへと移行し、川添登、黒川、菊竹らのメタポリズム>日本から流れをつくった磯崎新らのポストモダニズムへと流れ、 現在は・モダニズムへと逆流し、コンピューター解析による大胆な構造をベースにした無構造派とも言うような建築造形へと流れていきます。
下の写真は、東京のオリンピックスタジアムの設計者で話題になった建築家・故/ Zaha HadidとFrank.O.Gehry(ビルバオ・グッゲンハイム)の建築作品ですが、 ごらんのように現在の建築界は、コンピューターにより「構造の束縛」から解放され、自由な造形で空間を造り始めています。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
尚、シュタイナー建築やガウディ、スウェーデンの建築家ラグナール・エストベリー(ストックホルム市庁舎/1923 )などを日本に紹介したのは、今井兼次氏で早稲田大学で教鞭をとっていました。
今井兼次氏 は、桃華楽堂(皇居内)/ 碌山美術館(安曇野市)/ 多摩美術大学校舎(現存しない)等を設計し、 日本二十六聖人殉教記念館(長崎)はガウディのデザインパーツを、九州の大隈記念館はシュタイナーの第二ゲーテアヌムのデザインパーツを取り入れて設計しています。
・・・ 興味深い現象について
《 棟上げ/上棟式 》
下の工事中の写真を見て下さい!
写真を見ると、大小のドームの屋根の上に木を立てていますが、自然に対する畏敬からなのか、神に対するものなのか、どこか日本の”上棟・棟上げ(下記写真参考)”みたいにも見えてしまうのですが?
棟上げ、上棟式 !?
・・・ 自然や神への畏敬の念 !
・・・ 感謝 或いは 祈り!
▲ 1’st Goetheanum
▼ 日本(参考写真)
何だろうか?
共通しているように見えてしまう!
《 脇道:雑学 》
上棟式 / 調べてみました!
棟上げ式/上棟式は日本独自のものではなく、ヨーロッパでも古くから根付いている儀式のようです。
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ヨーロッパでの上棟式というのは、昔(紀元前でしょうね?)のデンマークやスウェーデン・ノルウェー地方(ノルマン人 )で、木造建築を造る際に木々や地の霊を鎮める為に行われた宗教儀式が始まりだそうです。
ノルマン人の間で行われていた儀式は、建物の建設の際に、主要構造を完成させた時点で式典を行われます。
この儀式は、日本と同じような意味合いで、その地の霊・神に対する挨拶や畏敬の念が込められているようです。
木造建築の屋根の棟木を建物の最上部に取り付けてる際に行われます。
棟木に大工や建築主らが署名した後、その棟木を屋根に引き上げて固定し、その上に常緑樹の葉や枝で作った飾りや旗などを設置し、その後は一同で飲食を行う。
・・・ 日本の話ではありません。
下の写真を見て下さい。形状も催事も同じなんです。
それがヨーロッパ各地に伝わり、移民を通して一部のアメリカにもこの風習が伝わったそうです。
上の写真は、ヨーロッパ(デンマーク)と日本の上棟式ですが、全く同じように感じます!
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今回は、ドイツの上棟式 ( Richtfest:リッヒトフェスト ) を紹介致します 。
ドイツでは14世紀頃から行われているそうで、建設中の住宅で依頼主が幸せに暮 らす家庭を築く ための大切な習慣だと考えられています。
家の基本構造と屋根を支える骨組みが出来上がった時に、家の安泰や幸運を祈って上棟式が行われるそうです。
儀式は、屋根の骨組みの頂部に常緑樹の小さな木や、枝や葉っぱで編み上げたリース等を飾り、建築依頼人が最後の釘を打ち込み、その後に大工さんの代表が屋根の上で建築関係者へ謝意を述べたり神に家の安泰や祝福をお願いするスピーチをします。
式を担当するのは家を建てる家族で、参加者は 近所の住民や建築家・大工など家の建設に携わった人たちです。
儀式の締めくくりは、家主が参加者の前でスピーチをし、ドイツの習慣で家の屋根からガラスを落とし、ガラスが割れると縁起が良いとされています。
その後に、ドイツの伝統的な料理・ビールやワインを楽しみ、家族や参加者は絆を深めるそうです。
驚き!
そして、面白いですね、
全く日本の上棟式と同じです!
日本では、神主がお出ましになることが多いので、日本独自の神事だと思っていましたが、各国で、趣旨/意味合い・やり方・形の殆どが同じように行われているんですね!
・・・ 興味深いことです!
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世界の文化の繋がりを
もっと調べてみたくなりました。
シュタイナー建築・造形の紹介に戻ります。
1st Goetheanum
< 1913 – 1920 >
Height 34m/Width 75m/Length 85m
≪木造(基壇のみRC造)≫
2 nd Goetheanum
< 1925 – 1928 >
Height:37m/Width:85m/Length:91m
RC造
凹凸の多い屋根・壁面、屋根と壁のぶつかる部分の曲線等など、この時代に、この建物を造り上げる情熱と技術・努力は、驚きでしかない。
Door
Dornach
– Goetheanum –
Ruttiweg 45 CH-4143 Dornach1/Switzerland
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シュタイナー建築
ルドルフ・シュタイナー思想の造形
シュタイナー建築作品紹介
END
《 別添資料 》
シュタイナーの研究リポートには、シュタイナー建築以外にも 精神科学概論(その1・2・3)、シュタイナー年譜・年表、シュタイナー書籍の紹介、シュタイナー瞑想法・バラ十字の瞑想 がありますので興味のある方は、下記文字をクリック(タップ)してご覧下さい。
■ シュタイナー精神科学概論
■ ルドルフ シュタイナー年譜
■ シュタイナー書籍紹介
■ シュタイナーの黒板絵と色相環
■ シュタイナーの瞑想法
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