” シリーズ:八ヶ岳思考 ”

シュタイナー建築

シュタイナー建築:第一ゲーテアヌム
第一ゲーテアヌムの完成時
–  Goetheanum–
Ruttiweg 45 CH-4143 Dornach1/Switzerland


シュタイナー建築
☆ TOP・前編 ☆



【 構成 】

シュタイナー建築
TOP・前編 / 中編 / 後編

《 3編からなります 》



シュタイナー建築/前編目次

第一ゲーテアヌム断面図
第一ゲーテアヌム断面図


■ Photo/Basel & Dornach
■ 特集について
■ Goetheanum の概略説明
  (本説明は”後編”にあります)
■ 建築というものの考え方
  ◇ 建築心理入門
  小林重順 著:彰国社
  色彩造形心理学者
  ◇ 建築論
  フランクロイドライト
  ◇ 建築特集の趣旨
  人間の快楽への欲求
■  シュタイナー建築とは!
  独創性について

シュタイナーの黒板画
シュタイナーの黒板画




Basel & Dornach
Switzerland

シュタイナー建築:バーゼル市庁舎
バーゼル市庁舎
シュタイナー建築:バーゼル市庁舎
バーゼル市庁舎の内部
シュタイナー建築:バーゼルの市民
バーゼル市民
シュタイナー建築:バーゼルの市民
バーゼル市民
シュタイナー建築:バーゼルの宿
バーゼルの宿
シュタイナー建築:バーゼルの街
バーゼルのダウンタウン
シュタイナー建築:バーゼルの街
バーゼルの街
シュタイナー建築:ドルナッハの街
ドルナッハの街
シュタイナー建築:ドルナッハ
ドルナッハ
シュタイナー建築:ドルナッハ
ドルナッハ
シュタイナー建築:ドルナッハ
ドルナッハ
シュタイナー建築:ドルナッハ
ドルナッハ
シュタイナー建築:ドルナッハ

–  Goetheanum–
Ruttiweg 45 CH-4143 Dornach1/Switzerland

シュタイナー建築:シュタイナーと人智学徒


【 特集について 】

この特集は、シュタイナーの哲学・思想に”建築という表現体”から迫ってみたものです。

ルドルフ・シュタイナーの思考造形を単にオカルティズムの形として捉えるのではなく、現代科学や医学では表現できない人間の心の神秘や未知なる魂の囁き・働きについて考えてみると、ゲーテアヌム(ゲーテの館)の造形にはそれらに繋がる何か・意味する何かがあるのではないかと思えてくる。

好き・嫌い或いは良い・悪いなどの評価的判断ではなく、自然科学万能主義・物質主義、合理主義からでは見えない何かが醸し出されているように感じます。

重たい造形に潜む軽やかさ、
雄弁な造形に潜む静寂さ、
シュタイナーの色相環/色彩に潜む”無色”、
目と心(体感)で異なる感覚空間

・・・ 矛盾を呼び起こす感覚
・・・ 不思議な造形・色彩

人生の賛歌、悲哀
心・魂の囁き
死後の世界観
見えない、感じるしかない事象

・・・ 何かが話しかけてくる

シュタイナーは、建築及び空間に何を謳わせているのか
・・・ その何かを探ってみたいと思いました。

第一ゲーテアヌムのグラスリッツエン
第一ゲーテアヌムのグラスリッツエン


私は、哲学・心理学の思考等の興味/方面から入り込んで、我が人生の指針の一つとして妄信せずに・是々非々で、シュタイナー思想/人智学 ・ アントロポゾフィーを長年学んできましたが、シュタイナーの建築表現や造形に興味があった訳でありません。

・・・ 正直に言うと私の表現方法/好みとは異なります。

特にメインホール天井のフレスコ画 : ホールの造形の多弁さからすると、それ以上語らなくても・と思うが、私の個人的な好き嫌い・好みの範疇でしかない。

思うに、好みとか評価などは、社会の流れや時代・ポピュリズムに影響されますので、重要なことではありません。

重要なのは、好き・嫌い或いは良い・悪いなどの個人的/世間的な評価とは別に、 ”建築・造形や空間から何を感じるか、何が見えるか、或いは、設計者の意図や哲学/美学を感じとる”ことだと思っています。

例え、感じとった”なにか”が、自分の嗜好とは合わない/嫌悪を感じるものであっても、 冷静に”感じとったそのもの”と対峙して、作者の”言葉”を聞き取ることに尽きると思いますので、感じとった”なにか”という観点から、私なりの解釈を進めます。

第一ゲーテアヌム(NO1:ゲーテの館)


尚、この特集では、現在のムード(流行り)に流された、ルドルフ・シュタイナーが設計した建物に対しての見方/評価、そして レトリック的な風潮から離れた分析・見方をしています。



シュタイナーは、・・・

ゲーテアヌムを
自ら設計し、自らと仲間達の資金で建てました。

それも、第一ゲーテアヌムは放火されたが、それにもめげず・すぐに第二ゲーテアヌムを設計し・建設している。

・・・ これは、凄いことです!

シュタイナー建築特集
シュタイナーと人智学徒


第一ゲーテアヌム
第一ゲーテアヌム

第一ゲーテアヌム【 1913 – 1920 】
曲線 / 柔 ・ 流
Height 34m/Width 75m/Length 85m
≪木造(基壇のみRC造)≫
1922年大晦日放火により焼失

第二ゲーテアヌム
第二ゲーテアヌム

第二ゲーテアヌム【 1925 – 1928 】
直線 / 剛 ・ 塊
Height 37m/Width 85m/Length 91m
≪RC造≫




建築というものの考え方

スケッチ/スペイン・バレンシア


■ 建築心理入門/小林重順 氏
■ ライトの建築論
■ シュタイナー建築特集の趣旨



【 建築心理入門 】

小林重順 著 (色彩・造形心理学者)彰国社刊

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ものが人の心に結びつくには、それが知覚に刺激を与え、からだに興奮をよびおこすかどうかにある。

それも快・不快のもっとも素朴な情緒的反応を、まずもたらす。
建築に限らず人々が造形に出逢うと、情緒的な反応が沸き、やがて五体を貫く緊張感を生む。

よい形態はリピドへと働きかけるためだと思う。
しかし、形態感情は人の成長過程で次第に条件づけられてゆくもので、たんに快楽追求の衝動だとは一口にいいきれない。

幼い頃には、あらゆることがただ好き・嫌い、快・不快で処理されているが、そのうちに複雑なフォルムや色にも情緒的反応が条件づけられ、形態感情も分化されてゆく。

形態感情はよい造形に接するうちに、次第に獲得されるものである。 この情緒的反応は、ふつう四丘下部とか大脳皮質に深い関係を持つものである。 それでは、すぐれた建築に出逢うと、人々はどう受けとるだろうか。

その造形美は快い刺激となって、過去の経験に照応され、いろいろな感情をもたらす。 五体を貫く感動の波に、ひしひしと生命感が迫ってくるにちがいない。

こうした形態感情の昂まりこそ、人と建築の出会いにふさわしい。

・・・ 小林重順

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

【 建築論 】

– THE NATURAL HOUSE –
ORGANIC ARCHITECTURE
フランク・ロイド・ライト

Frank Lloyd Wright / 1867 ~ 1959
旧帝国ホテル設計:アメリカの建築家

人間においても、建築においても、今日最も必要なものは、”完一性(INTEGRITY)”なのだろう。

その”完一性”とは、人の心の中に残るものの価値なのです

それは自分以外のいかなる人にも、或いは外的条件の外側からのいかなる圧迫にも変えることのできないもので、自らの努力により、自らの内側からしか変えることが出来ないものです。

なぜならば、それは”あなたというあなた自身”の中にしかないものであり、それによって、あなた自身の人生(あなたが、自分の建物を建築するように!)を、できる限り良いものにしようとするもののことなのです。

又、人間を、或いは建物を内から育むことは、常に困難を伴う。

なぜならば、深いものは常に浅いもののように簡単なものではないからなのです。

もし、あなたが尊んでいる自分自身の内にある深いもの”真実であるその道・そのところ”で、あなたが本当に生きようとするなら、あらゆる意味で”完一”でなくてはならないし、その努力が必要です。

・・・フランク・ロイド・ライト



【 シュタイナー建築特集の趣旨 】

人間の快楽への欲求!

便利さや使い勝手、住み心地や不動産的な価値観など、ある意味での肉体的/物質的な価値観だけに焦点が当てられている”住まいや建築”の価値!

生きている限りは、そのことも重要だとは思うのですが、
その流れに乗っている車のアクセルから足をはずして、ブレーキは無理としても、エンジンブレーキくらいは掛けてみてはどうだろうか?

住まいは、快適で安心安全、社会からの逃げ場
肉体と精神(心)”の現実と理想そして”矛盾”
・・・ 人間の快適とは?

難しい問題です!
しかし、
私は、人は”パン”のみで生きているのではないと思いたいのです!

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もし、物質的な価値観主体の世界に疑問を持っているならば、辛いけど身近な価値観から変えていく!

それが良いのか悪いのかは分からない。
しかし、考えてみる!

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

快適さだけを求め続けても良いのだろうか?
シュタイナーは、建築を通して何を語っているのか?
・・・ 等などを

インド/ハリジャンの家
この家族が暮らす牛糞の住まい


この特集は、住まい/建築を、肉体的・精神的に”考えてみる”ことに焦点を当てています。



シュタイナー建築

Dornach
–  Goetheanum–
Ruttiweg 45 CH-4143
Dornach1/Switzerland

Dornach / Switzerland


私が思うに、近代建築の文脈・枠には収まりきれない建築

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シュタイナーの設計の独創性!

独創とは、ある意味では社会の評価に背を向けること、尚且つ、独創的という意味合いを解釈すると、他者が理解できるようなものは、他者が理解した時点で”独創”とは言わないので、独創的なモノを理解するのは難しい。



独創的であるがゆえに ・・・

自分の好みは、かなりの部分で現在の世間的な好みや評価に影響されていますので、自分自身の好み、社会の流れや時代・ポピュリズムに影響されないモノの見方・感じ方が重要ではないかと思っています。

難しいが、・・・

” 独創的なモノに接し、 味わい・浸る ” ことで重要なのは、世間的な 良い・悪いなどの評価とは別で 例え、感じとった ” なにか ” が、自分の好みには合わない/嫌悪を感じるものであっても、冷静に”感じとったもの ” と対峙し、そこから作者の”言葉”を聞き取ることだと思います。

”独創”に触れることは、
・・・ それに尽きると思います。

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シュタイナー 建築 
◆ 中編 ◆



シュタイナー建築:中編
☆ 目次 ☆

■  構想~設計
シュタイナーの造った空間・造形
建築を設計するとは
■  ゲーテアヌムの平面形態
■  近代(現代)建築の流れ
■  Goetheanum の建設★

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” Tea Break ”
シュタイナー建築を紹介する前に
《 筆者の本音 》
建築基準法まで変えた
”姉歯氏による構造計算書偽造事件”
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☆拙作:設計監理作品
☆凡夫の独り言・凡夫の芸術観
☆旅の途中:インドでの生活記