曼荼羅 /曼陀羅NO2

八ヶ岳曼荼羅


曼荼羅 NO2INDEX

◆ 曼荼羅を描くということ
◆ 日本の曼茶羅
  胎蔵界曼茶羅、金剛界曼茶羅
◆ ユングと曼陀羅
  分析心理
◆ 曼荼羅参考資料



曼荼羅:インド/バラナシ:ガンジス河の夜明け
インド/バラナシ:ガンジス河の夜明け



曼荼羅を描くということ

八ヶ岳曼荼羅:インド/ダラムサラ
砂曼荼羅を描くチベット僧侶
インド/ダラムサラ
砂曼荼羅を描くチベット僧侶


私が現地で見た曼茶羅は、仏菩薩が天を舞うような曼茶羅や幾何学模様の曼茶羅、抽象画のような曼茶羅があり、チベット僧が描く「砂曼茶羅」は、小さな筒から、色砂を指の振動で少しずつ落として描きます。

呼吸で砂が舞ってしまいますので、僧はマスクをして、息を止めながら描き、描き終わったら直ぐに壊します。
僧たちは、単に絵を描いているようではなく、格闘しているように感じました。

※ 曼荼羅を描くということは、自らとの格闘なんでしょう!

八ヶ岳曼荼羅:インド/ダラムサラ
砂曼荼羅を描くチベット僧侶
 八ヶ岳曼荼羅/Dharamsala
八ヶ岳曼荼羅/Bhaktapur
Dharamsala & Bhaktapur


尚、曼茶羅図形には、決まり事というとおかしいですが、共通した形状があります。
それは、曼茶羅図形に描かれた”円と四角”の幾何学図形と”4と9”という数字です。

この形状と数値には密接な関連があるようです。
仏教では、4は完全数、9は還元数で異次元の数とされています。

曼茶羅を見て分かるのは、基本的な円と四角が中心となり、それが重積した求心的配列をとった図形になっています。そして、描かれているものの数が”4と9”になっています。

私が曼荼羅から感じたことは、
4は、上部を”東”、下部を”西”、左を”北”、そして右を”南”とした仏菩薩の方位図形で、9については、仏菩薩の存在やその周囲図形に現れていることです。

日本の曼荼羅の胎蔵界曼茶羅でも大日如来中央に鎮座し、その周りに8体の菩薩が取り巻いていて都合9体の仏菩薩になっています。
又、金剛界曼茶羅の仏菩薩の世界(マス)は九つに分かれています。

そのような図形を心理学者・ユングは 、「自分自身でも意識できない部分を含めた心全体を表す図」 と述べています。


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日本での曼茶羅は、大きく分けると胎蔵界曼茶羅、金剛界曼茶羅に分かれます。
それは、曼茶羅が中国を経て日本に伝わったときに”空海”が「胎蔵界と金剛界」という分類思想で紹介しました。

「胎蔵界」とは文字通り”女性の子宮を意味し、「金剛界」とは不変不動を意味し、男根(塊)をも意味します。

空海は、”女性”性と”男性”性の日本的な二元論を曼茶羅を通して作り変えようとしたともいえますが、曼茶羅は、宗派によってその意味や解釈も異なると言われますので、参考意見に留めて下さい。


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因みに、胎蔵界曼茶羅は、衆生の無上の仏道心が、万物の大悲(胎内)の中で成長する過程を図形化したもので、図形の中央に”大日如来”が鎮座し、上部を”東”、下部を”西”、左を”北”、そして右を”南”とし、それぞれを”発心”、”菩提”、”涅槃”、”修行”の方角としているのが特徴です。

八ヶ岳曼荼羅/曼荼羅
胎蔵曼荼羅


又、金剛界曼茶羅は、「金剛頂経」に基ずく曼茶羅で、大日如来の智慧を表しているともいわれます。

八ヶ岳曼荼羅/曼荼羅
金剛界曼茶羅



『 ユングと曼陀羅 』

心理学的なところからの曼茶羅絵図/図形と構図・構成の心理学的因果関係




” 分析心理学 ”

    ▼

カール・グスタフ・ユング

八ヶ岳曼荼羅/カール・グスタフ・ユング
Carl Gustav Jung


心理学者・ユングは神経症患者などが描く絵画に精神的な安らぎを感じるものがあることに不思議さを感じ、また、それらの絵にある類似点があることに気づきました。

その類似点は道教の本に出ていた曼茶羅と一致し、さらに曼茶羅的配列の絵画はエジプトやギリシャなどの遺跡にも残されており、ユングはこれを単なる個人の創造や思いつきで作られるものではなく、すべての人間が所有する基本的な形象(円や四角の幾何学図形の配列と求心的構図)ではないかと考えるに至ります。

先にも述べたように、ユングは曼茶羅を「自分自身でも意識できない部分を含めた心全体を表す図」と捉えています。

高僧達が瞑想によって得た宇宙観を描いた曼茶羅を見て、神秘的な感じを受けるのは私達の心の無意識の部分にも共鳴する部分があるからだというのです。

「無意識」とは仏教で「阿頼耶識(ア-ラヤシキ)」といわれ、普段は自我意識の奥にあり、外から情報(識)を自我意識を通して吸収しているが、時々表に出てくるものとされ、ほぼ同じ意味でとらえられています。

曼茶羅は、心の内なる中心を具現化して表したものといえます。

八ヶ岳曼荼羅/曼茶羅



また、円や四角、4と9でモザイクされた曼茶羅を分裂病とか神経症の患者が発病期や治療期といった転換期で書くことはユングを始め、多くの深層心理学者が指摘しています。 

それらの場合、円のイメージの厳格な秩序が心的状態の無秩序と混乱を補償していると考えられます。

その補償作用は中心点が構築され、それを中心にしてすべてのものが秩序づけられたり、あるいはさまざまな無秩序なもの・対立しているもの・結合できないものが同心円的に整然と配置されることによります。

これは明らかに自然の自己治癒の試みであって、それは何か意識的な熟慮といったものではなく、本能的な衝動から生まれるものであると言われます。

これらのことから、ユングは、人々は心の奥底にこのような形象をもっていると考え、その基礎的な図式を「元型」と名付けます。

この「元型」が現れる根底にあるものは、あらゆる時代・あらゆる場所において非常に似たシンボルを作り出す、個人に意識されない普遍的なものだとして、これを「集合無意識」と名付けています。

☆ ☆ ☆

(註) 私見になりますが、ユングが言う曼荼羅での「元型」とは、「元型的イメージ」と解釈しています。



カール・グスタフ・ユングの著書には「マンダラと固体化」「表象と象徴」「無意識の心理学」「心的類型」などがあります。

(参考) 
図形による心理的分析には、スイスの精神科医師「ロールシャッハ」によるロールシャッハテストがあります。

ご存知の方も多いと思いますが、年代(幼児・思春期・壮年期・晩年期)や職業・性別、病(分裂症・精神病など)の状態がある程度分かるそうです。

また、ある 色彩心理・造形心理学者によると、

『 造形は快い刺激となって、過去の経験に照応され、いろいろな感情をもたらし、 五体を貫く感動の波に、ひしひしと生命感が迫ってくる。』
らしいのです。


※ このように、曼荼羅を含め”図形や造形”と人間の”心・精神”には密接な繋がりがあるようです。



《 曼荼羅参考資料 》

◆ 書籍

曼荼羅図典/紀伊国屋書店・価格7700円

曼荼羅図典


  リンク ▼

◆ 京都国立博物館:星曼荼羅談義

◆ 奈良国立博物館:法華経曼荼羅

◆ 真言宗総本山東寺:立体曼荼羅

◆ 真言宗金剛院:曼荼羅の教え


八ヶ岳曼荼羅/IndiaーSadhu
India/Sadhu

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